一人暮らしを始めた頃〜5,6年目ぐらいまでの部屋は、人を招くことになったら「まとまった時間をとって掃除・片付けしないといけない」部屋でした。
シンクに洗い物が溜まっていたり、床に脱ぎっぱなしの服や出しっ放しのカバンがいっぱいになって足の踏み場がなかったり、机や棚の上がぐっちゃぐちゃになっていたり。「気づくと部屋が荒れている」というのはわりと日常で、どっこらしょと本腰を上げて片付ける必要があったわけです。
今の部屋はすごく綺麗とかいうわけでもないし、写真に撮ると余計な物が色々とある部屋だなぁと思うこともよくあるのですが、いわゆる「荒れている」状態になることは滅多にありません。
一番の理由は、リモートワークメインになって家事に割ける時間が多いことと、物が圧倒的に少なくなったこと、だとは思うのですが、長年の一人暮らし生活の中で「部屋の最適化」をちまちま続けた結果、自分では気付かぬうちに「普通に暮らしてれば自然と片付く」という状態がキープできる部屋になっている部分もあるな、と感じたので、自然とやっている「最適化」をちょっと分解して整理してみたいと思います。
まとめてみたらすごく「当たり前」の話になるかもしれません。
物は「使う頻度」でしまう場所を変える
片付けのコツの記事を読むと、まず最初に「ものを捨てる」というようなことが書いてあって、「それができれば苦労しないんだよ」と思ったことがある方もいると思います。
私も今の生活になるにあたっては紆余曲折いろいろあったので、だいぶ物は少なくなったのですが、それでもバンカーズボックスが部屋に10箱以上あったりとか、「よくわからないが捨てられないもの」をたくさん持っています。
それらの「よくわからないが捨てられないもの」がたくさんある人が、捨てずに片付けやすい状態を手に入れるにはどうしたらいいかですが、「使う頻度の異なるものをごちゃ混ぜにしない」ことがまず最重要です。
「よくわからないが捨てられないもの箱」の中には、「いつか使うかもしれない便箋」とか、「お土産としてもらって捨てられないボールペン」とか日用品に分類されるものもあるのですが、これを「文房具」という名目の箱にしてしまうと面倒なことになるので、ラベリングは「いつか使うかもしれない文房具」にします。
そして私の部屋にある「文房具」には3つのステータスがあります。
1. ほぼ毎日使う(ハサミ、カッター、テープなど)
2. 仕事で取材のとき使う(ボールペンとメモ帳)
3. いつか使うかもしれない(色鉛筆やカラーペンなど)
これを「文房具」のラベリングで同じ箱にぶち入れて押し入れにしまっておくと、例えばハサミを出すときに
押し入れをあける→箱を取り出す→箱の蓋を開ける→探す
の実に4ステップが必要になります。片付ける際も同様の4ステップなので、こうなるともう「片付けない」まっしぐらになるわけです。
なので、これらの3つの異なるステータスを持つ文房具は、3つの異なる場所に保管しています。
- ほぼ毎日使う→キッチンの引き出し(1ステップ)
- 仕事のとき使う→仕事のリュックに入れっぱなし(1ステップ)
- いつか使うかもしれない→押し入れの箱の中(4ステップ)
という感じに。
最初からステータスが明確なわけではなくて、最初はこの箱の中に入れてあったんだけど、いつの間にか出しっぱなしで片付けなくなっている、というようなものは「ステータスチェンジ」を検討し、最適な場所を探すことを繰り返します。
逆に、「めちゃくちゃ取り出しやすいキッチンの引き出しに入れてあったけどよく考えたらほとんど日常では必要なかった」というようなもの(賃貸借契約書とか備え付け家電の取扱説明書とか)は、ステータスを3に変更して箱にしまったりもします。
単純な話のようですが、これをあらゆる場所で同様に行います。
例えばクローゼットでも
- ほぼ毎日着る(パジャマ類、下着類)→1ステップ
- 週に数回着る(オンシーズンの衣類)→1ステップ
- たまに着る(アウトドアやスポーツの衣類)→2ステップ
- 次の季節に着る(オフシーズンの衣類)→3ステップ
- いつ着るかわからない(オケージョナル)→4ステップ
ぐらいのステータスに分けて、あとは自分の部屋の収納力に応じてステップ数を振り分け、自分の片付け能力に応じてステータスを最適化していく感じです。
下着類や小物の収納も、このハンガーポケットにぽいぽい入れるだけ。面倒な時は畳みすらせずに雑に入れてます。
「毎日使う」ものを片付けるときに2ステップ以上使わない
一番大切なのは「毎日使う」ものを片付けるときに2ステップかかる動線を使わないことです。
便利収納アイテムを買うときにはそれによって「ステップ数を減らす」ことを意識して買いましょう。
なかなか部屋が片付かないときに収納アイテムを買い足した結果、かえって片付けの手間が増えるということはよくあることです。
「ステップを増やしてしまう落とし穴」がある収納アイテムはまとめるとこんな感じです。
- 蓋のある箱(蓋を開ける、という余計なステップが発生)
- デカすぎる箱(「箱の中から探す」「箱の中を整理する」という余計なステップが発生)
- 積み重ねられる箱(下の段にあるものをとる、戻すで2ステップぐらいかかる)
いつ使うかわからないけど捨てられないものをとにかく保存しておく用途には非常に向いているバンカーズボックスです。そのまま引越せます。
「片付けるために片付ける」必要がないようにスペースをつくる
「さぁ掃除機かけるぞ」と思ったときに、床がごちゃごちゃだとか。
洗濯機を回し始めたもののハンガーが全部埋まってて乾かす場所がないから先に畳まなきゃいけないとか。
食器を洗おうと思ったけど洗ったあとに乾かしておく場所がないから先に片付けなきゃいけないとか。
これらの「片付けるために片付ける」が発生すると一気に萎えて何もやる気が起きなくなるので、「片付けるために片付ける」がなくていいようにすることがとても大事です。
そんなに難しいことでもなくて、
- 全ての服を畳まなくてもかけられる分のハンガーとハンガーをかけるスペース
- 食器を洗ったら乾かすようのスペース(棚の上に厚手の布巾敷くだけで良い)
- 床に放り出しっぱなしにしやすいもの用のスペース
というように、ちゃんと「スペース」を作っておくだけで大丈夫です。
スペースを作る場所がないんだが、というときは、ものを捨てなくてもいいので、普段使ってないものをどんどん「いつかは開けるかもしれない箱」に入れてどこかに積んでおいて、毎日使っているものだけはちゃんと「スペース」に収まるようにしましょう。
今の部屋だと水切り棚があるので必要なくなったのですが、前の部屋ではこの「ティータオル」が超便利で乾かす用の場所として活用してました。
「片付ける」にかかる時間を正確に把握しておく
前まではシンクに使った後の食器やらが山積みになっていることも多かったのですが、今の部屋では「シンクに食器の放置は絶対にやらない」と決めていて、それが守れています。
これは明確な意識改革が自分の中で起きたことがあって。
「食器を洗うの面倒くさいなー」と思ってた自分の頭の中では、一人分の全ての食器にかかる時間は30分ぐらいのイメージだったんですよね。
それがある日、時計を見ながらやってみたらものの10分ぐらいで終わりまして。
「え、なんだそんなもんか」と思いました。
洗濯物を洗濯機から出して干すのにかかる時間も、体感では20分ぐらいだと思ってたけど10分ぐらいだったし、「え、そんなもんなのか」と思ったら後回しにするよりさっさと終わらせたほうが楽だなーと。
ちゃんと「スペース」が用意できていて、「片付けのための片付け」が発生してない状態で、用意スタートで測れば、家事にかかる時間って実はそんなに長くないんですよね。それを実感するだけでちゃっちゃとちゃっちゃと片付けができるようになったので、「苦手な家事」にかかっている時間を測るのは是非やってみてほしいです。